京都人は町名で場所を覚えていない

ネットを見ていると、京都の人気飲食店やスポットを紹介する記事をよく目にする。最近は外国人観光客が増え、日本人が減っていると言われるが、それでも京都は日本を代表する観光都市である。注目度は依然として高いのだろう。

それはいいとして、いつも気になる点がある。紹介されている店やスポットの所在地の書き方である。

だいたい「京都市中京区 ○○町」といった表記になっている。これを見ると、どうにも違和感を覚える。というのも、われわれ地元民は、京都市中心部の場所を 町名では把握していないからだ。町名を言われても、正直どこなのかピンとこない。

地元民の感覚では、「四条通東洞院上る」のように書かれていれば、一瞬で場所がわかる。町名はその後に“おまけ”のように付いてくる存在である。

京都の住所表記は独特で、縦横の通りを基準に位置を示す。「上る」「下る」「東入ル」「西入ル」などの言葉が並び、慣れない人にはややこしい。しかし地元民にとっては、これが最も正確で、最も早い。

たとえば「烏丸通錦小路上る」と書かれていれば、烏丸通を(北へ)少し上がったあたりだとすぐにわかる。しかし「京都市中京区○○町」と書かれても、どの通りに面しているのかがわからない。結果として、地元民の頭の中では地図をまったく描くことができない。

もちろん、町名が悪いわけではない。京都の町名は歴史が深く、由来も面白い。ただ、日常生活ではほとんど使わない。だから、ネット記事で町名だけが書かれていると、どうにも“場所が浮かない”のである。

観光客向けの記事だから、町名表記の方が正式でわかりやすいのかもしれない。しかし、地元民としては「そんな情報では、ぜんぜん場所がわからへん」と、いつも心の中でつぶやいてしまう。

京都の住所表記のルールについては、ここでは詳しく書かない。ただ、ネット記事を見るたびに、町名だけがぽつんと書かれているのを見ると、どうにも落ち着かない。京都の街は、通りの名前でできている。町名は、その後ろにそっと控えている存在である。

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