私の事務所がある京都・烏丸エリアは、昼夜を問わず賑わうビジネス街である。昼食需要はもちろん、アフター5の食事、そして一杯呑みといった需要に応える飲食店が、この界隈には多い。

最近、このエリアには新店が多くできている印象がある。古い京町家を改装し、雰囲気の良い店を作るのが流行りのようだ。どの店も、料理人は真剣に腕を振るい、自慢の料理を出しているに違いない。だが、日々、様々な店の前を通り過ぎ、店内をちらりと覗くうち、あることが気になるようになった。
繁盛と配置の謎
それは、多くのお客がいる店と、そうではない店があることについてだ。同じような立地、同じような価格帯、同じような料理を提供しているように見えても、これほどまでに客足に差がつくのはなぜだろうか。
もちろん、お客が店を選ぶ基準は「おいしさ」が第一だろう。だが、最近になって私は、それ以外の目に見えない要素もあるのではないかと考えるようになった。
それは店の席の配置だ。

素人目ながら、ある店の中を瞥見(べっけん)すると、お客がどうにも盛り上がりそうにない配置をしているのがなんとなくわかる。毎日、毎日、多くの店を見ているからだろうか。口でうまく表現できないもどかしさがあるが、その「盛り上がらなさ」が、どうも客足の遠のく一因になっている気がしてならないのだ。
芸人の「ウケる」会場論
この現象を考える時、ふと思い出す話がある。
ある芸人がこんなことを言っていたのだ。
「同じネタをやっているのに、ぜんぜんウケない会場がある」と。
また、別の芸人は、企業を訪問して講演活動も行っている。その人は、必ず事前に会場に足を運び、現場の様子を確認するのだという。その際にチェックするのは、椅子の並びだ。
彼は、「同じことを話しても、言葉が届かない配置がある」と言う。そんな会場は、自分で納得できる椅子の配置に手直しするのだそうだ。椅子を並べ直すだけで、会場の雰囲気や聴衆の反応が変わるというのだから、まことに興味深い。
空間の法則
飲食店に話を戻そう。
きっと、店内の配置にも何かしらの法則があるに違いない。
繁盛店で修行した者が、暖簾分けをして同じような店づくりを行うと、やはり繁盛することが多い。それは単に味を継承しているだけではなく、その空間が持つ「ウケる」法則をも受け継いでいるのではないか。

その法則を、素人である私がうまく解説できないのが歯痒い。そこは、飲食店コンサルタントといった専門家の領域なのだろう。この烏丸のビジネス街を歩きながら、私は今日もまた、店の前の行列と店内の席の配置を、ついつい比べてしまうのだ。
※写真はあくまイメージです。決して入りにくい店ではないので悪しからず



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