先週末、私は人生で二度目のドクターイエローを目撃した。
ドクターイエローとは、東海道・山陽新幹線区間を走る検測用の黄色い車両のことだ。姿をめったに現さないため、鉄道ファンは「見ると幸せになれる」と信じている。この黄色い物体は、人々の間で幸運のシンボルとなっている。
熱狂の理由
仕事が終わり、京都へ帰るため新幹線ホームを歩いていた時のことだ。異様な光景が目に飛び込んできた。ホームの端、進行方向の一点に、尋常ではない人だかりができていた。
集まっていたのは、老若男女、様々だ。男性が多く、女性や子供もいる。彼らの多くがスマートフォンを手にし、皆、その画面を熱心に見つめて何かを待っている。表情は真剣で、ホームの他の乗客とは明らかに違う雰囲気であった。
彼らが焦点を定めていたのは、鮮やかな黄色の車体、ドクターイエローである。一般の営業列車にはないこの「黄色」が、その場を特別な空間に変えていた。
この列車は正式名称を「新幹線電気軌道総合試験車」という。以前は2編成あったが、現在走るのはJR西日本所属のT5編成、つまり東海道・山陽新幹線の中でたった1編成しか存在しない。こうした稀少さが、彼らの熱狂の理由だろう。
人生二度目の目撃だが、前回も今回も名古屋駅だった。名古屋駅は、この路線の検査上、特別な停車駅なのだろうと推測する。
私は鉄道ファンではない。でも、この人々の行動に無関心ではいられなかった。皆の視線の先にある黄色い物体が、本当に皆に幸運をもたらすのか。そう考えながらも、私は周囲と同じく、無意識にスマートフォンを構えていた。
その瞬間、私もまた、「見ると幸せになれる」という漠然とした期待を持っていたのだろう。
思い返せば、本格的な機材で撮影していたのはごく少数だった。ドクターイエローの価値を発信したのは、おそらく彼ら鉄道ファンだろう。しかし、いまやホームを埋めるのはほとんどがスマートフォンを構えた人々である。この事実は、世の中の流行の本質を表している。つまり、「その他大勢」の行動こそが、世の中の動きを決めているということだ。



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