錦市場、神戸牛のキャビア添え

京都

以前のブログで、最近の錦市場は外国人観光客ばかりなので、もう歩くのをやめたと書いた。地元の人間が夕餉の買い出しに訪れるような、あの「京の台所」の風情が消えてしまったからだ。

しかし、不思議なもので、一度その変貌を目にすると、妙に気になりだす。最近では、興味本位で、またちょくちょく足を運ぶようになってしまった。

一度歩くと、変化が気になりちょくちょく訪れるようになった

人波をかき分けて歩く私の視線の先にあるのは、売られている商品と、その変遷である。 店頭に並ぶのは、買ってその場で食べられる揚げ物や、串に刺した焼き物の類が多い。とにかく、どれもこれもが高い。たとえば海老のフライが三本で二千五百円もする。もはや日本人を相手にしていないのは明白だ。驚きを通り越し、清々しささえ感じる。

海老のフライが3本で二千五百円。たらばがには一盛一万二千円!

さらに高級志向を追求した結果、最近では京都とは縁のない商品があちこちで見られるようになった。代表格が、神戸牛の上にキャビアや雲丹を惜しげもなく乗せた串である。

キャビアや雲丹がトッピングされた神戸牛の串

これらを眺めながら、私は商人の心理を勝手に想像してみた。 おそらく最初は、地元の「京都牛」の串を細々と扱い始めたのだろう。それが売れるものだから、次は「A5ランク」へと格上げしてみる。ここで高級品の味をしめたのが転機、いや、商売の始まりである。 一気に「神戸牛」という、京都とはまったく関係のない、しかし知名度の高い商材を並べ始める。そこへキャビアだ、雲丹だと、まるでダムが決壊したかのように豪華なトッピングがエスカレートしていったと推測する。

当初は「京都らしいものを売る」という誇りにも似たコンセプトもあったはずだが、一度神戸牛を置いたところで、その堤防は一気に崩れ去ることになった。あとはもう、高く売れるものをいかに並べるかという、商人のややこしい欲望のままに新たな商品が開発されていった。

賑わえば賑わうほど、錦市場の価値が低減していく。以前書いたその思いは、今の市場を歩くたびに、より一層強まっている。 「京の台所」にキャビアの串が並ぶ。 ここまでくると、失望を通り過ぎて、なんだか笑えてくる。

外国人向けが盛況の一方、昨年末、京都らしい蒲鉾店が閉店した

私は人混みの外へ逃げ出し、頭を冷やした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました